• 合計30,000円以上のご購入で送料無料
英国保管ワイン取り寄せ 次回船便のお申し込み締め切りは2025年9月19日(金)正午まで
詳しくはこちら

アジアのワイン事情:香港、シンガポール、日本に広がる進化する嗜好

6 MINUTE READ • Wed, Sep 10, 25

ベリー・ブラザーズ&ラッドが米国での展開を控える中、私たちがアジア市場に進出してからすでに25年以上が経ちました。では、現在この地域のコレクターたちはどのようなワインを求めているのでしょうか。今の市場環境はどのように映っているのでしょうか。

今回、アジアバイヤーを務めるTom Baxterに現状についての見解を伺いました。

アジア市場を見据えて

ベリー・ブラザーズ&ラッドには長らく「アジア担当バイヤー」のポジションがイギリス本社にありましたが、この役割をアジアに拠点を置く人物に任せることを決断しました。香港、シンガポール、日本にいるプライベート・アカウント・マネージャーのためにファインワインを調達するのが主な使命です。その目的はただひとつ──これまで以上にアジアのコレクターのニーズを的確に理解し、最適なワインをお届けすること。今年の初めから私に託されたのはまさにこの任務でした。

もちろん3つの国・地域には共通する消費傾向も存在しますが、アジア市場をひとつに括るのは適切ではありません。それぞれが異なる産業構造や人口動態を持ち、消費者の嗜好も独自の特徴を備えています。

香港はアジアで最も成熟し、多様かつ競争の激しいファインワイン市場です。ここで成功を収めるためには、適正な価格設定、模範的な顧客サービス、そしてコレクターのセラーに長年並んできたクラシックな銘柄への卓越したアクセスが不可欠です。

シンガポールは比較的若い市場であり、現地での調達手段が限られている一方、急速に広がる多様なワインシーンがあります。好みの変化も速いため、ベリー・ブラザーズ&ラッドには柔軟かつ俊敏な商品展開が求められます。

日本は、確立された側面と未開拓の可能性を併せ持つ市場です。シャンパーニュの名門メゾン、ブルゴーニュの造り手、あるいはボルドーのシャトーなどを、世代を超えて熱心に追い続けるコレクターが数多く存在します。

そしてアジア全体に共通しているのは、「家族経営の老舗ワイン商」からワインを購入する際に期待される高い基準、完璧な来歴、そして揺るぎない信頼です。

 

アジアで求められるワインとは

香港のワイン市場はボルドーから始まりました。いまなおメドックの五大シャトーやペトリュスといったカルト的な銘柄は根強い人気を誇ります。若いヴィンテージでは値上がりの余地を残した競争力のある価格が不可欠であり、バックヴィンテージについては来歴が完璧であることを条件に一定のプレミアムも受け入れられます。これはブルゴーニュについても同様で、特に新進気鋭の造り手によるリリースには大きな期待が寄せられています。

香港から南西に4時間のフライトでたどり着くシンガポールでは、クラシックな銘柄と同じくらい多様性への関心が高まっています。レコルタン・マニピュランのシャンパーニュ、あまり知られていないアペラシオンに挑むブルゴーニュの新世代、さらにはシチリアのエトナのような新興産地の高評価ワインまで。開かれた視野と確かな知識を備えたコレクターたちにとって、新しい発見は大きな魅力となっています。もちろん、従来からの人気銘柄も健在ですが、幅広い購買傾向はシンガポール市場の若さとダイナミズムを反映しています。

一方、香港から反対方向に同じく4時間飛べば、日本にたどり着きます。ここではまったく異なる景色が広がります。地震の多い国土事情から現地での長期保管はリスクがあり、ベリー・ブラザーズ&ラッドが誇る「英国保管からの出荷モデル」は非常に魅力的です。ここでは、ブルゴーニュやローヌ、シャンパーニュの一流かつ希少な生産者への熱意が際立っています。日本料理に通じる「繊細さと洗練」へのこだわりがワイン選びにも反映されており、シャンパーニュへの尽きない需要は日本のコレクターのセラーに欠かせない存在となっています。

 

今後の展望

アジアはこれからもベリー・ブラザーズ&ラッドが世界的に成長を続ける上で重要な役割を担う地域です。大切なコレクションをキュレーションし続けることはもちろん、新たな取り組みにも強い関心が寄せられています。その好例が、私たちが新たに開始したワインオークションで、すでに多くのお客様にご参加いただいており、今後さらに拡大していくと期待しています。

アジア各地に拠点を構え、新しいお客様と出会い、オークションやイベントを充実させていくなかで、私たちに広がるチャンスは尽きません。立ち止まることなく進み続けるべき時なのです。