秋冬に合うワインを探して
食卓が大きく変わる日本の秋冬。この季節に合うワインとは何か?ベリー・ブラザーズ&ラッドのアカウント・マネージャーであり、アカデミー・デュ・ヴァンの講師も務めるフレデリック・カユエラに、彼が思い浮かべる日本の季節の変わり目と、お勧めのワインについて聞きました。
数週間前、山梨を旅していた時でしょうか。心地良い寒さに、剪定されたばかりの木々の枝を焼いたような、少し煙たい香り━絵に描いたようなブドウ栽培地の勝沼に、薄い霧を作り出していました。一面に広がる紅葉を眼前に、今年もやってくる年末の訪れと、時の儚い揺らめきをしみじみと感じておりました。
収穫期もほぼ終え、鮮やかなピンク色の土着品種である甲州をセラーへと運び込む人の姿がちらほらとはあるものの、緑と緋色の外套をまばらにまとったブドウの木は、すでに休眠の時を迎えようとしている。しかし、そんな勝沼から何百キロも離れた東京では、寒さと静けさがさらに光り輝く大都会を包み込んでいる。やはり秋の持つ落ち着きは、日本列島全体に沁みついているものなのかもしれない。
そんな夏の明るさが去り、年末の賑やかさが近づいてくるまでの間。気温が適度に下がってきたこの季節は、魅惑的なルビー色をまとう大胆な赤ワインを味わいながら、一年を振り返り、心を和ませるのに最適な時期でもある。大地の養分を蓄えた松茸のスパイシーな香り、焼き芋の香ばしさ、そして心温まる鍋やおでんと、心を満たしてくれる食事をこれだけ味わいながら季節の変わり目を楽しめる日本の秋冬というのは、力強い赤ワインを食卓に持ち出す絶好のタイミングとも言えます。
エレガントなブルゴーニュのピノ・ノワールから荘厳なピエモンテのネッビオーロまで、これらのブドウから造られるワインは季節の空気感だけでなく、その季節に提供される料理の性質にも適していると感じます。
私のお気に入りのピノ・ノワールの一つ、才能あるバンジャミン・ルルーにより精巧に造られた2018年のヴォルネイ、プルミエ・クリュ、クロ・ド・ラ・カーヴ・デ・デュックを例に取りましょう。このワインは、秋のリッチな料理と一緒に飲む口実をたくさん与えてくれます: 活き活きとした酸が驚くほどフレッシュで若々しくも、新鮮な赤い果実、チェリーやラズベリーの力強さが驚くほど長く続きます。日本ではこの季節に多くのキノコの品種が楽しめるので、林床のニュアンスや香ばしいノートを持つ、より複雑で発達したブーケを持つオールド・ヴィンテージのワインも合わせて検討する価値があります。私のお勧めは、例えばコント・アルマンのポマール、プルミエ・クリュ クロ・デ・ゼプノーのジューシーなバックヴィンテージか、フランソワ・ゴヌーの20年物のポマールです。
アルプスの反対側、ピエモンテでは、バローロとバルバレスコのネッビオーロが、日本の秋の美食のためのもうひとつの美しい選択肢です。その淡くエレガントな外観は、ピノと似ていなくもないと言えるでしょう。しかし、ネッビオーロは、しばしば張りのあるきめ細かいタンニンを持ち、より多くのテクスチャーを提供してくれます。高い酸味と力強さ、そして高いタンニンとフルボディが織り成す食欲をそそるフレッシュさは、風味豊かでボリュームのある料理に対応する際の強い味方となります。バローロの長い熟成期間を考えると、杉やオークのニュアンスに加え、タバコやビター・チョコレートの成熟したニュアンスを伴う複雑な層が感じられるのも珍しい特徴ではないでしょう。マルカリーニの2019年バローロ、ブルナーテは、日本のお肉の煮込み料理や、フランス南西部のビストロ料理、例えば鴨のカスレのようなボリュームのある料理と合わせるとよりジューシーになるでしょう!
年末を迎えるにあたり、素晴らしいワインと共に、大切な人との時間を楽しむこと、そしてその和やかな時間を分かち合う素晴らしさを思い出していただきたいです!乾杯!
フレデリック・カユエラ